国民民主党 第27回
参議院議員通常選挙 特設サイト

政策ファクトチェック

政策

政策各論3

「人づくり」こそ国づくり

「教育国債」の発行で、教育や科学技術等「人への投資」を倍増し、経済全体の生産性を向上させて日本の国際競争力を強化します。
幼稚園・保育園から高校までの教育完全無償化とともに、出産・子育て・教育にお金のかからない国を実現します。児童手当や奨学金等子育て・教育支援策から所得制限を撤廃するとともに、年少扶養控除を復活、高校生の親の扶養控除を堅持します。公的医療保険に上乗せして徴収する子ども・子育て支援金制度を廃止します。
働く環境を守り、個々人の希望に応じて働き続けられるよう、働き方改革に取り組むとともに、就職氷河期世代が抱える様々な課題に寄り添った伴走支援を進めます。現役世代・次世代の負担の適正化と医療・介護提供体制の充実等を進め、人生100年時代を支える持続可能な社会保障制度を構築します。
女性の多様な生き方や性の多様性を尊重し、誰もが自分らしく生きていける社会をめざします。

1. 教育国債の発行

「教育国債」で教育・科学技術予算を倍増し、「人づくり」を国の最重点政策として進めます(「人への投資」倍増戦略)。特に、基礎研究振興のための大学運営費交付金を増額し、大学・大学院の研究費や人件費を倍増することで、技術の基礎となる研究力をつけ、新たな商品開発力・品質改善力でのイノベーションを支えます。
教育や人づくりに対する支出は、将来の成長や税収増につながる投資的経費です。財政法を改正して、これらの支出を公債発行対象経費とする「教育国債」を創設します。毎年5兆円発行し、教育・科学技術予算を年間10兆円規模に倍増させます。

2. 教育無償化の実現

全ての子どもが人生の平等なスタートラインに立つため、0~2歳の幼児教育・保育無償化の所得制限を撤廃するとともに、義務教育を3歳からとし、高校までの教育や子育てにおけるあらゆる施策を完全無償化します。①0歳児の見守り訪問無料(おむつ・ミルク定期便)、②18歳までの医療費無料、③小中学校給食無料(地産地消や有機食材を推進)、④公共施設入場料無料、⑤第1子からの保育料無料、⑥産後ケア無料、⑦乳幼児育児中の休息支援サービス(レスパイト)無料、⑧障がい児福祉無料、⑨妊婦健診(オプション検査)無料、⑩新生児スクリーニング検査無料、⑪学童保育・おやつ代無料、⑫教材費や修学旅行費等無料。

3. 奨学金の拡充

(1)給付型奨学金の拡充

貸与型奨学金の所得制限を撤廃し、奨学金の原則無利子化と返済不要の給付型奨学金を中所得世帯に拡大します。卒業生の奨学金債務も減免します。

(2)奨学金返済免除

公的資金や教育国債を活用して奨学金徳政令をめざします。当面は、専修学校や高等専門学校、大学や大学院等の高等教育の授業料を減免するとともに、既貸与者の奨学金については1人最大150万円まで免除するとともに、返済額を所得控除の対象とします。
さらに、人手不足が深刻な教職員や自衛官等に就業した場合は全額免除します。

また、卒業後就職した法人が奨学金貸与者の返済を支援した際、返済支援額を法人税の控除の対象とします。
(3)「仕送り控除」制度創設

地方出身学生(進学のために単身、もしくは寮等で生活している学生で、いわゆる自宅生に比べて居住費等の負担が重い者)の仕送り負担軽減のため、年間の仕送り額を所得控除の対象とするような「仕送り控除」制度を創設します。地方出身学生の親の二重負担(「学費」+「仕送り」)軽減は教育環境格差是正にもつながります。

4. 教育・教職員環境の充実

(1)給特法の見直し

学校教員の長時間労働の是正等、働き方改革及び教職員等の増員に取り組むとともに、給特法(教職調整額を支給する代わりに、超勤手当を支給しないと定める法律)は、廃止を含め、見直します。

(2)「教育DX」の推進

教職員の働き方改革及び問題発見能力・課題解決能力の育成を主眼とした個別最適学習の実現に向けて、デジタルの力を最大限に駆使した教育現場のDXを積極的に推進します。

(3)通学時の子どもの安全確保

「児童通学安全確保法」を制定し、児童の通学中における安全の確保に関する基本指針等を定め、児童通学交通安全区域における交通の規制や道路の整備等対策を進めます。国が責任を持って体制を整備し、通学路等での子どもの安全を守ります。

(4)学校等の施設整備推進

大きな課題となっている学校施設の老朽化の対策に早急に取り組みます。全ての保育園・幼稚園・小中学校・高校へのエアコン設置(特別室・給食調理室・体育館含む)を国の補助によって実現します。

(5)学校スポーツの指導者確保及び財政支援

部活動の地域移行に関する費用等も勘案し、児童手当のさらなる拡充や教育・保育サービスを受けられるクーポン券の発行(バウチャー制度)を検討します。学校スポーツの地域化が困難な地方では児童・生徒への財政的支援策を講じます。地域スポーツクラブ等がほとんどない地方での学校スポーツの地域化のためには満18歳以上の学生を含む指導者(教員等)の確保等、負担軽減にも取り組み、財政面も含めた公的支援制度を構築します。学校の部活動や地域のクラブ活動への移行を踏まえ、学校と地域が協働・融合した形での地域におけるスポーツ環境整備の支援を行います。

(6)「部活動の地域移行」の積極的推進に関する各施策

学校と地域及び地元企業や団体、大学・専門学校等が協働・融合した形での地域部活動の幅広い環境整備のための支援を行います。

(7)地域スポーツ振興の支援促進

あらゆる世代を対象に多数の地域住民にスポーツの恩恵を提供できる総合型地域スポーツクラブを基盤とした地域スポーツ体制を推進します。子どもの居場所づくりを含めたスポーツによる学童サービス、部活動の地域展開の受け皿、健康寿命を延ばす予防医療や生涯スポーツ等、世代や競技種目等を跨いだ包括的な地域スポーツ環境の整備や支援を積極的に進めます。また、スポーツを通じて平和外交に寄与します。

(8)不登校児童への教育の機会の保障
不登校児童への福祉・医療・家庭への経済的支援を省庁間の隔てなく、児童個々単位で適切な支援を強化します。そのために、子ども包括支援センターや小学校低学年から可能とする学校型不登校特例校の設置を推進します。また、規則正しい生活を送ることができ、子どもたちがすこやかに成長するため、自立支援学校の拡充をめざします。

5. 出産・子育て支援策の拡充と所得制限撤廃

(1)児童手当の拡充・年少扶養控除の復活

日本の将来を支える子どもを等しく支援するため、親の年収にかかわらず、第一子、第二子の児童手当を18歳まで一律で月額1万5000円に拡充します。年少扶養控除を復活、高校生の親の扶養控除を堅持します。

(2)全ての障がい児福祉に係る所得制限撤廃

(詳細は政策各論3の11の(1)の❶障がい児福祉に係る所得制限の撤廃と手当の引き上げ

(3)ひとり親家庭に係る所得制限撤廃

ひとり親家庭の養育費確保問題に取り組むとともに、児童扶養手当の水準を引き上げます。医療費等の所得制限等も撤廃します。
また、ひとり親家庭の生活の安定と向上に向け、副業・兼業者への労働時間・賃金の通算による社会保険等の適用に向け早急に取り組みます。

(4)多子家庭・多胎家庭への支援強化

多子家庭や多胎家庭は、育児や家計の負担が特に大きく、孤立しやすいリスクを抱えています。「安心・安全・安価・気楽」「使いたい時にすぐ使える」サービスの拡充を進めます。具体的には一時預かりや訪問型支援、移動支援、家事・育児ヘルパーの充実、きょうだい児の支援等、多様なニーズに応じた支援を柔軟に届けられる体制を整備します。

(5)公的給付金への非課税

「公的給付金非課税措置法案」の成立をめざします。出産や子どもの養育、教育等の公的給付等については、給付の効果が減殺されることがないよう所得税を課しません。

(6)男性の育児参画

男性を含め一定期間の育児休業機会の付与を事業主に義務化します。男女ともに育休中の賃金保障を実質100%とする雇用保険法改正を実現します。父母が互いに育児を支え合う夫婦協同育児(コペアレンティング)と子育てシェア等を推進します。
また、「育児休業」を「育児参画」に改称し、職場での男性の休みづらさを解消します。
育児休業者の代替要員確保等の支援を拡充します。

(7)待機児童・待機学童の解消に向けた保育環境整備と人材確保

待機児童の解消のため保育施設と放課後児童クラブ充実に向け、保育及び学童保育に関わる職員の賃金を引き上げます。併せて休日保育・学童、病児・病後児保育等多様な保育を充実させます。

(8)妊娠・出産に係る公費支援

不妊治療への公的支援やノンメディカルな卵子凍結(加齢により妊娠が困難になることに備え健康な若い女性が行う卵子凍結)についての助成をさらに拡充します。不妊治療に対する社会的認知を進めます。また、小児、若年性がん治療薬の妊孕性温存療法(精子・卵子保存)を保険適用にします。出産における麻酔の利用について、安全な無痛分娩を受けられる体制整備を行います。

(9)日本型ネウボラの創設

保健師・医師等による妊娠時から高校卒業までの「伴走型支援」を制度化し、妊娠・出産、子育て期まで保健や子育ての支援が一体となった切れ目のないサポート体制(ネウボラ)を構築します。子育て世代包括支援センターにおける業務を拡充し、妊娠時から高校卒業まで担当の保健師・医師等に相談ができる体制と組織を構築します。

6. 子どもの安全と福祉の確保

(1)児童虐待防止対策の強化

身体的虐待のみならず、性的虐待、心理的虐待、ネグレクト等、全ての虐待から子どもたちを守るための多機関連携と伴走施策を進めます。
まずは児童養護施設や一時保護所、児童相談所スタッフの増員とデジタル化、専門職の配置のほか、子どもたちを取り巻く環境の整備が必要です。被虐待児の心身のケアと学習支援、虐待加害者等への生活支援、里親制度の更なる充実も併せて推進します。また、新たに法整備された「日本版DBS法」※を着実に実行するとともに、民間事業者にも性犯罪歴の確認を義務付け、子どもたちを性被害から守ります。
※日本版DBS法…幼稚園や小中学校等に就職希望者の性犯罪歴の確認を義務付ける法律

(2)子どもの死亡検証(チャイルドデスレビュー)の導入

医療機関や行政をはじめとする複数の機関・専門家が連携して、亡くなった子どもの事例を検証し、予防策を導き出すことで、子どもの死亡を少しでも減らします。

(3)ヤングケアラー対策

「ヤングケアラー支援法」の施行状況を検証しつつ、育児や介護、障がいのある兄弟のケアや通訳等を日常的に行っている子ども(ヤングケアラー)の実態調査を定期的に行い、効果的な支援の方法を調査研究するとともに、ヤングケアラーの子どもやその家族に対する福祉的・教育的な支援を行います。

7. 人材育成の強化と職業訓練の拡充

(1)「求職者ベーシック・インカム制度(仮称)」

雇用のセーフティネット機能を高めつつ、成長分野への人材移動と集積を進めるため、職業訓練と生活支援給付を組み合わせた求職者支援制度を拡充した「求職者ベーシック・インカム制度(仮称)」を構築します。また、資格取得等(大型一種、二種免許等)につながる教育訓練給付の更なる拡充、企業内の人材育成を図る若手・中堅の教育プログラム作成への支援をします。地元の企業との連携により、工業等も含めた専門高校、専門大学等での職業的学びの確立を進めます。

(2)研究者の育成

任期付き採用が多く賃金水準も低いゆえに、優秀な人材が海外に流出し研究職を諦めている現状を打開するため、研究者の任期なし採用を増やすとともに、能力を正当に評価し報酬を支払う仕組みを整備し、研究・開発やものづくりの基盤を支える高度人材の育成を推進します。

(3)職業訓練の拡充

リカレント教育、フリーランス、ギグワーカー等に対応した教育・雇用環境を整備し、雇用労働者だけでなく社会人の学び直し、リスキリングを支援します。また、労働市場へ参入後に職業訓練を受ける権利と機会を保障する制度を検討します。

(4)EdTechの推進

AI、IoT、VR、学習・教育効果の向上、自動化・効率化、価格破壊、市場創出等により、従来の教育の仕組みや産業構造に大きな変革を起こします。

8. 働き方改革

(1)長時間労働の是正

勤務から翌日の勤務まで一定の間隔を空ける「インターバル規制」の義務付け、長時間労働の温床となっている「裁量労働制」の厳格化、労働時間管理の徹底、違法残業等法令違反に対する罰則の強化等、未だ解消されない多くの業種の深刻な人材不足を解消するためにも実効性のある規制を設けます。

(2)働き方に中立な社会保障制度の構築に向けた「年収の壁」の解消

持続的な賃上げを実現するうえで障害となる「年収の壁」の解消をめざします。パート等短時間労働者が就業調整を気にすることなく、本人の意欲に応じて働き年収を増やすことができる制度となるよう、期限を決めて制度改革に取り組みます。また、社会保険の適用拡大の企業規模要件の撤廃を進め、働き方に中立的な制度への改革に取り組みます。

(3)労働者の保護

近年における企業組織の再編の状況等に鑑み、会社分割だけでなく事業譲渡の際にも労働契約や労働協約を新会社に継承できるように「労働契約承継法」の改正をめざします。勤め先が倒産したときの労働債権は他の債権に優先して支払われるように見直します。また、持株会社等が子会社等の従業員雇用に一定の使用者責任を負うよう企業組織再編における労働者の保護を整備します。

(4) 労働教育の推進

「ワークルール教育推進法」の策定等により、労働教育の推進を通じて、安心して働くことができる社会の実現をめざします。

(5)労働力不足の対策

一般的に3K(きつい、汚い、危険)といわれる仕事に従事している人の賃金を上げます。労働力不足が深刻な「運輸業・建設業」等の現業系職種の賃金を早期に増額し、当面は国による負担制度を構築します。

(6)育成就労支援

新たに始まる外国人労働者の育成就労制度については安価な労働力の確保策として悪用されないよう、厳格かつ適切な運用を求めます。また、育成就労制度と特定技能制度が一体的な運用となり、日本で働く外国人が特定技能制度2号になると家族帯同で永住できることからも、来日する子どもや家族の日本語習得や日本の歴史・文化、制度等への教育、学校での学習機会の確保等、国が主体的な対策を講じていくよう取り組みます。

(7)食事手当の非課税限度額の引き上げ

労働者の健康維持・増進のため、企業による食事補助の充実に向けて、食事手当に関する非課税限度額を6,000円程度に引き上げます。

(8)病気有給休暇の創設

病気の時のために年次有給休暇を残しておくという課題を解消し、年次有給休暇の取得を促進するために、年10日の病気有給休暇付与を創設します。

(9)労働災害防止対策

AI、IoT等の最新技術を活用して、労働災害を未然に防ぐための機器の開発・製造及びそれらを導入する企業への支援を積極的に展開します。安全人間工学を基礎とした安全管理技術の継承制度を創設します。採掘精製・製造等の現場及び職場等の安全衛生対策を目的とする設備投資や支出に対する税制優遇措置を設けます。

(10)ハラスメント対策

ILO190号条約の批准に向け、パワハラ・セクハラ・マタハラ・SOGIハラ等、職場におけるハラスメントを法律で禁止すること、また、保護の対象を雇用労働者以外にも拡大する法整備を進めます。労働者や取引先以外といった第三者からのカスタマーハラスメント対策に向け、行為者の規制に係る法律を制定します。

(11)介護と仕事の両立支援(ビジネスケアラー対策)

介護休業の期間を延長したり、介護休暇を時間単位で取得できるようにする等、介護する家族の立場に立って、介護と仕事が両立できる環境を整えます。

(12)ダブルケアラー対策

晩婚化・晩産化といった背景から子育てと介護が重なるダブルケアに苦しむ人が増加しており、実態把握のための調査を政府に義務付け、支援に向けた施策を行うよう政府に求める「ダブルケアラー支援法」を制定し、ダブルケアラーの支援を推進します。

(13)「可処分時間確保法」の制定

仕事の両立やリスキリングの時間を確保する等、ケアに携わる人の「可処分時間確保法」※を制定します。
※育児、介護等と仕事の両立、リスキリング、休息、勤務間インターバル等の時間確保

9. 就職氷河期課題への伴走支援

就職氷河期世代が直面する課題を解決するため、下記政策を行います。

(1) 実態調査と政府施策の検証および将来推計
  • 氷河期世代の固定イメージ(男性×非正規)の払拭と、男女や地域、他世代との雇用形態、生涯賃金、体験格差や傷つけられた自尊心及び精神疾患等についての調査研究
  • 単身高齢女性の貧困に関する調査研究
  • 65歳雇用確保措置義務に関する調査研究
  • 氷河期世代の生活保護に至る推計(国民民主党が労働力調査を基に推計:約54万人)
(2)就職氷河期世代を中心とする中高年層の年金・資産形成不安への対応
  • 基礎年金の底上げのための、国民年金等の「追納要件の緩和」や「給付付き税額控除を前提とした最低保障年金制度」の構築
  • 米国「セイバーズマッチ(低所得者が確定拠出年金を行う際に半額を政府が拠出する制度)」を参考にしたiDeCo(個人型確定拠出年金)特例の検討
  • 年金掛け金納付期間を20歳から65歳まで延長
(3)就職氷河期世代に“履歴書と面接を入口としない採用”を<民間企業採用促進>
  • 東京都が実施するソーシャルファーム(就労困難者支援)の全国展開
  • 就労拡大が必要な介護や農林水産、運輸、観光等の企業に対する社会保険料免除措置
(4)就職氷河期採用凍結による人材の世代不均衡を是正<公企業採用促進>
  • 会計年度任用職員の正規化や、教職員等を含む公務員採用の拡大
(5)就職氷河期以降の世代の就労定着支援
  • 課題のアセスメントから医療、福祉への接続を含む就労定着支援事業を実施
  • 低金利融資や支援金による起業やフリーランス支援
(6)就職氷河期世代の賃金プロファイルを可視化
  • 若年層に比べて著しく低い中高年層の賃金の伸びを可視化(人的資本情報開示「賃金プロファイル(労働者の年齢と賃金との組み合わせ)」を義務化)
  • 氷河期世代の賃上げを実施した中小企業等に対する税制優遇
  • 氷河期世代の賃上げを実施した大企業等に対するGPIF投資基準への反映
  • 退職金課税強化の阻止
(7)就職氷河期世代のリカレント・リスキリングに生活支援で伴走
  • シンガポール「スキルズフューチャー(生涯職業能力開発プログラム)」を参考にした求職者支援制度の再構築
  • 求職者ベーシック・インカムの導入(生活支援給付の強化)
  • サバティカル休暇(一定の長期勤続者に対して付与される長期休暇制度)の推進
(8)切実な就職氷河期世代の親・兄弟介護問題
  • ビジネスケアラー及びダブルケアラー支援策の充実
(9)ハウジングファーストの住宅政策
  • 公営住宅の年齢要件撤廃やUR住宅の家賃減免
  • 基礎年金で入居可能な介護付き住宅の拡充
  • 家等の遺産相続の基礎控除額の引き上げ

10. その他

  • 単身者の見守り支援の充実及び賃貸契約や入院等に係る身元保証制度の再考および看取りについての調査研究
  • 健康診断や診断項目の拡充とストレス関連疾患や生活習慣病の予防分野支援 10 現役世代・次世代の負担適正化と医療・介護の質の向上を両立させる社会保障制度の確立

自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の取組を拡充、強化します。公立・公的・民間を問わず、地域にふさわしいバランスのとれた医療・介護サービス提供体制を構築する「地域医療介護構想」を実現します。持続可能な社会保障制度を構築するために、能力に応じた負担、科学的根拠に基づいた保険給付範囲の見直し、医療・介護DXの推進を通して質の向上と効率化を図ります。

(1)年齢ではなく能力に応じた負担

年齢ではなく負担能力に応じた窓口負担にします。健康寿命の伸長や高齢者のライフスタイルの多様化を踏まえ、後期高齢者の医療費の自己負担について原則を2割、現役並所得者を3割にします。また、「現役並所得」の判断基準について、従来の年金所得・就労所得に加え、金融所得、金融資産等の保有状況を反映させることで、世代間の支え合いに加え、“世代内”での支え合い機能と公平性を高めます。
高額療養費における70歳以上の自己負担限度額の上限と外来特例を見直します。
医療・介護・障害福祉等にかかる自己負担の合計額に上限を設ける総合合算制度を創設します。

(2)高齢者医療制度への公費投入増

現役世代の社会保険料負担(天引き)の内、およそ半分を占める高齢者医療制度(後期高齢者拠出金、前期高齢者納付金)や次世代に対する支え合い分について、本来の制度趣旨を鑑み、現役世代だけではなくあらゆる世代が負担する公費投入を行います。

(3)科学的根拠に基づいた保険給付範囲の見直し

医学的知見、医療経済学的知見、PHR(Personal Health Record 個人医療情報)の分析データ等、科学的根拠に基づいた保険給付範囲の見直しを行います。特に市販薬類似の医療用医薬品(いわゆるOTC類似薬)について公的医療保険の対象から見直します。
保険外併用療養費制度 (評価療養、選定療養等)の弾力化を図ることで、難病や希少疾病患者等の治療の選択肢を増やすとともに、先進的な医療の導入促進を進めます。特定の患者の保険外療養に対する経済的支援や、先進医療に対する民間保険の活用を進めます。

(4)ヘルスリテラシー教育の推進

国民が正確な知識に基づき、正しい判断と行動がとれるよう、負担と給付に代表される社会保障の仕組み、がん・生活習慣病・認知症等の基本知識、薬物乱用等の不適切使用を抑止するための医薬品の基本知識、ワクチン・予防接種の基本知識等のヘルスリテラシーについて、平時からの教育や啓発の強化を進めます。

(5)セルフメディケーションの推進

安全で利便性の高いセルフメディケーションの普及のために、薬剤師の職能を活かす制度作りを進めます。
安全性が高く効果が確認されている医療用成分のスイッチOTC化を進めることで、国民の健康維持にかかる意識を高めるとともに、医療費適正化を進めます。
自身の健康状態の把握や疾病の早期発見、早期受診のために検査薬OTC化を推進します。
リフィル処方箋の普及をめざします。セルフメディケーション税制の普及に努めます。

(6)中間年薬価改定の廃止

後発医薬品の安定供給を図るとともに、我が国における新薬創出を促進するため、中間年薬価改定を廃止し、経済成長率を踏まえた新たな薬価改定ルールを策定します。そのため、中央社会保険医療協議会の構成を見直し、医薬品関連業種の代表者を加えます。

(7)予防医療・リハビリテーション

認知症予防やフレイル(加齢とともに、筋力や心身の活力が低下し、健康な状態と要介護状態の中間状態になること)予防、リハビリテーションを充実させ、健康寿命を伸ばします。

(8)医療提供体制の充実、医療の質と効率の改善
❶医療従事者の負担軽減と働き方改革

医療従事者の負担を軽減するため、不要な業務の削減につながる規制改革や、医師・看護師・薬剤師等が実施可能な行為や役割の見直しを進めるとともに、女性医療従事者の就業継続・再就職支援を行います。また、勤務医の働き方改革を実現するために、コ・メディカル(病院薬剤師・特定看護師・看護師等)へのタスクシフト・タスクシェアを一層推進します。

❷地域医療体制の見直しと機能強化

医師の地域偏在や診療科偏在の是正に資する、診療報酬評価を行います。あわせて医療機関や病床の機能分化・連携・集約を進め、地域で必要な医療機能を提供する医療機関を支援します。さらに、かかりつけ医(日本版GP)、かかりつけ薬局(日本版CPCF)制度や、診療報酬の包括支払い制度、人頭払い制度の導入についても検討を進めます。そして、医療資源の圧迫を防ぐために救急車の適正利用を促します。薬剤師の職能活用、地域フォーミュラリー(医薬品の使用指針)の推進により医療の質と効率を改善します。

❸医療DXの推進

オンライン診療の普及を推進し、医療空白地を含む地域における医療へのアクセスを改善します。また、標準型電子カルテや電子処方箋の普及の推進、「全国医療情報プラットフォーム」の整備を通じて医療情報の共有化を進め、医療と介護の連携強化や重複処方・重複検査の是正を図ります。併せて医療会計の自動化や時間短縮を実現します。

(9)終末期医療の見直し

本人が望む医療やケアを、家族や医療・ケアチームと考える「人生会議」を制度化したうえで、尊厳死の法制化等、終末期医療のあり方を見直し、本人や家族が望まない医療を控え、望む形の最期を迎えられるよう支援します。

(10)介護サービス・認知症対策の充実

介護サービスの質を確保し、いのちや暮らしの基盤を立て直すため、政府が引き下げた訪問介護の基本報酬を引き上げ、全ての介護職員の賃金を引き上げます。また、介護DXの推進による介護現場の効率化を図るとともに、かかりつけ医と訪問看護等医療と介護の連携推進、在宅サービスの充実、配食や見守り等の促進を行い、「地域包括ケアシステム」の取組を拡充、強化します。さらに、認知症予防事業や認知症患者の徘徊対策等を推進します。介護職員の質を担保するために介護福祉士の上位資格「地域包括ケア士(仮称)」を制度化し報酬に反映させるようにします。

(11)介護研修費用補助

介護職員の人材確保と職場への定着を図ることを目的として、介護職員研修(初任者研修・実務者研修・介護支援専門員実務研修)を修了した方に研修費用の一部を補助します。

(12)介護福祉士国家試験に母国語併記

外国人介護人材を受け入れていくにあたり、介護福祉士国家試験が日本語のため、合格率が低い状況にあり帰国してしまうケースが多いのが現状です。日本語に合わせて母国語を併記してもらい、資格の取得がしやすい環境を整備することにより、外国人介護人材が将来にわたり日本で活躍しやすい環境を整備します。

(13)ケアマネジャー更新研修の廃止、負担の軽減

現在、ケアマネジャー(介護支援専門員)業務に従事するためには5年毎に研修を受ける必要があります。研修内容は都道府県によりばらつきがあり、長時間の研修や研修費用等は受講者に大きな負担が強いられます。そのため、ケアマネジャーの更新研修を廃止します。また、現在の都道府県主体の体制を見直し、全国一律でケアマネジャーの質の確保を図ります。

11. 障がい児・障がい者への包括的支援の強化

(1)障がい児への支援強化
❶障がい児福祉に係る所得制限の撤廃と手当の引き上げ

子育て・教育支援策全体の中でも、障がいのある子どもを育てる家庭の経済的負担を軽減することは喫緊の課題です。特別児童扶養手当・通所支援をはじめ、障がい児福祉に関する全ての公的給付における所得制限を撤廃するとともに、特別児童扶養手当の支給水準も引き上げます。

❷障がい児・医療的ケア児を含む多様な保育の充実

障がい児や医療的ケア児の保育を含め、多様なニーズに応じた保育環境の整備・支援を拡充します。

❸障がい児の18歳の壁対策

特別支援学校の高等部を卒業すると、「放課後等デイサービス」の対象外となり、日中の居場所や活動の場が失われる、いわゆる“18歳の壁”が存在します。そのため、夕方の早い時間帯に帰宅せざるを得ず、保護者がフルタイムの就労を諦めたり、短時間勤務に切り替えたりするケースも少なくありません。卒業後も安心して過ごせる支援体制の構築を進めます。

❹発達障がい児への適切な学びの保障

あらゆる子どもに学びの機会を保障するため、発達障がい児を含む全ての子どもが安心して学べる仕組みと環境の整備を進めます。

❺発達障がいの早期支援と専門人材の育成

発達障がいは早期発見と適切な療育により、子どもの可能性を大きく広げることができます。乳幼児健診や保育現場でのスクリーニング体制の強化とともに、療育に携わる専門職(作業療法士、言語聴覚士、公認心理師等)の養成・配置を進めます。また、保護者が孤立しないよう地域に身近な相談・支援拠点を拡充し、誰もが必要な支援に早くたどりつける社会を実現します。

❻インクルーシブ教育の推進

(詳細は政策各論3の12の(4)インクルーシブ教育の推進

❼NPO等による当事者支援の強化

(詳細は政策各論3の6の(2)子どもの死亡検証(チャイルドデスレビュー)の導入

(2)障がい者等への支援強化
❶障がい者・難病患者が安心して暮らせる地域社会の実現

障がい者・難病患者が住み慣れた地域で安心して自立した生活が送れるよう、「障害者差別解消法」の実効性のある運用をめざします。障がいの有無等にかかわらず、同じ場で共に学び、働く「インクルーシブ教育・雇用」を推進します。

❷発達障がいへの理解促進と就労・社会参加の支援

大人の発達障がいへの社会全体での理解を促進するため、「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」の更なる実施等、国による啓発活動・指導等の強化に取り組みます。
さらに、既存の発想にとらわれない新たな社会参加・就労機会の場を確保します。

❸就労支援施設における優先調達と工賃の適正化

障がい者支援のため、優先調達の促進(就労支援施設からの自主製品の優先調達)や適正な工賃の検討を行います。

❹障がい者福祉における所得制限の撤廃

障がい者に関する公的支援全般について所得制限撤廃をめざします。

❺手話言語法・情報コミュニケーション法の制定

視聴覚障がい者等の自己選択と自己決定が実現できる社会環境を整備するため、手話言語法、情報コミュニケーション法を制定します。

❻重度障がい者の自立支援給付と孤立防止

障害者総合支援法に基づき、重度障がい者の日常生活および社会生活に関しては、訪問介護や同行支援、行動支援等について自立支援給付を受けられます。しかし、就労等の経済活動は給付の対象外となっており自立を妨げているとの指摘があることから、厚生労働省告示第523号を改め、重度障がい者の行動援護に、通勤、営業活動等の経済活動を支給対象とします。また、核家族化の中で、重度障がい者の高齢化と両親の高齢化に伴う孤立が課題となっており、対応する施設の整備や支援の充実で、安心して暮らせる居場所づくりに取り組みます。

❼障がい者の投票機会確保と政治参加の保障

(詳細は政策各論4の(5)党の政策立案におけるAIの活用

12. ジェンダー後進国脱却、多様性社会実現

女性差別撤廃条約選択議定書を批准し、教育、就職、賃金、経営、政治参加等、あらゆるライフステージと政策における男女格差をなくします。男女間賃金格差の是正、民間・公務の双方における女性労働者の非正規率の改善、採用活動におけるハラスメント防止等に取り組みます。(女性候補者の擁立目標や候補者支援策の詳細は政策各論4の(5)党の政策立案におけるAIの活用
女性管理職比率向上のための研修導入等を推進します。これまでのジェンダー関連政策に関して検証を行い、地方自治体とも協力して課題解決に努めます。

(1)生理、更年期障害政策

経済的な背景のみならず情報や教育の乏しさ等による「生理の貧困」に対応するため、生理用品の無償配布を行うともに、学校における「生理教育(月経随伴症への対応や公立高校入試の追試対象であることの啓蒙、閉経や更年期障害に関する情報共有等)」に関する情報共有に取り組みます。

(2)選択的夫婦別姓制度

選択的夫婦別姓制度を導入します。多様な家族のあり方を受け入れる社会をめざします。婚外子差別となっている戸籍法の改正をめざします。法の狭間で苦しむ無戸籍・無国籍問題についても引き続き取り組みます。

(3)働く女性の健康サポート強化

若年期からの月経随伴症状や閉経前後の更年期における労働環境の整備に取り組みます。更年期症状や生理痛、不妊治療に対する理解促進に向けた研修や産業医の育成、休暇制度の導入を整備します。また、現行の生理休暇(労基法68条)を更年期症状や不妊治療等体調不良時に就業が著しく困難な場合にも利用できるものとし、取得が促進されるような名称に変更するとともに、取得した場合の所得補償を整備します。さらに、定期健康診断については性差を考慮した検査項目に見直します。また、フェムテックやメノテック(女性の健康課題をテクノロジーで解決へと導く製品やサービス)の開発、導入を後押しします。

(4)インクルーシブ教育の推進

障がい、ヤングケアラー、不登校、引きこもり、外国ルーツ、性的マイノリティ等の全ての子どもが互いを理解し、共に学べる「インクルーシブ教育」の環境をつくります。

(5)差別の解消とプライバシー保護

ヘイトスピーチ対策法を発展させ、人種、民族、出身等を理由とした差別を禁止する法律を制定します。また、性的指向、ジェンダーアイデンティティの多様性について、全ての国民が自然に受け入れられる共生社会の実現をめざします。アウティング(同意なき暴露)等を禁止し、ネット社会におけるプライバシーを守るための法律を制定します。

(6)外国人との共生

外国人の受け入れは、その能力が存分に発揮され、日本国民との協働・共生が地域社会や生活の現場においても推進されることが大前提です。困難な状況となっている地方における人材の確保、多様な言語に対応したワンストップセンターの整備等、地方自治体等に対する支援を強化します。また外国人児童・生徒の言語支援を強化するとともに不就学・進学の課題に取り組みます。育成就労の制度化にあたり、人権が保護されるよう、労働者としての権利性を高めます。

(7)孤独・孤立対策

国による初の実態調査によって全世代の約4割が孤独であると回答し、中でも最も孤独感が高いのは20〜29歳の若者で、失業者・男性単身者・公営住宅居住者も孤独感が高いことが判明しました。「生きる権利」を行使するために、無料のセーフティネットの拡充を進め、相談しやすい体制の整備を図ります。
これまでの孤独・孤立対策や自殺対策(特に若年層や子どもの自殺)を検証します。メディアによる自殺報道にWHOガイドラインに即したルールを策定します。相談や支援につながる「タッチポイント」や地域における「つながる場」を増やすとともに、ボットも活用した24時間365日チャット相談体制を構築し、相談への応答率向上のための人材を育成します。孤独・孤立に対するリテラシー教育とスティグマ(偏見や差別、負のレッテル)対策を推進します。ソーシャルワーカーの養成を推進することや民生委員・児童委員の経済的負担を軽減すること等により、地域で相談や支援活動を行う人材として子ども若者民生委員、デジタル関連サポートを提供するデジタル民生委員制度を創設します。孤独な育児による産後うつを予防するための産後ケアや睡眠指導、レスパイト(休息)の推進と無償化を進めます。高齢者の孤独・孤立対策として、地域企業と連携した見守りサービスの構築やAIを搭載したコミュニケーションロボット等購入のための補助金制度を創設します。

(8)ギャンブル依存症対策

急増するオンラインカジノ等を含むギャンブル依存症対策に取り組みます。