国民民主党 第27回
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政策ファクトチェック

政策

政策各論2

自分の国は「自分で守る」

自分の国は自分で守ります。新たな感染症、気候変動や南海トラフ地震等による自然災害や食料危機、厳しさを増す国際環境等、様々な危機を「想定外」とすることなく、経済、エネルギー、食料、防衛等を含めた広義の安全保障政策に万全を期し、国民と国土を守り抜きます。国民生活や産業に必要な物資が過度な外国依存とならないよう、「総合的経済安全保障法案」の成立をめざします。

1. 防災・減災対策強化

(1) 安心・安全な防災インフラの整備

毎年のように大規模な自然災害が発生し、多くの命が奪われていることから、「社会資本再生法(仮称)」を制定し、公共インフラの整備や防災対策の状況や半島防災、半島復旧・復興の課題を早期に点検し、円滑な維持管理、老朽インフラの計画的更新を進め、安全性・防災性と効率の向上を実現します。また、激甚化する自然災害に対する「災害ゴミ対策」に早急に取り組みます。防災拠点となる施設のインフラ等の悉皆調査を国が関与し大規模計画的に行い、防災・減災に万全を期します。盛土規制法に基づく規制区域の指定等による災害発生の予防に努めます。
2025年度末に期限を迎える「緊急防災・減災事業債」を延長する等、特に地方の防災・減災対策をしっかりと継続的に支援します。

(2)防災に携わる人的インフラの整備

消防団等の既存組織との連携、非常用電源設備や公衆無線LAN設置、防災衛星電話設置等を進めます。防災士等の防災人材育成に努め、国主導で防災士の活用場面等のガイドラインを策定し、周知します。
また、災害等への対応を強化するため、衛星データやドローン技術を活用した各種情報やデータを自治体と早期に共有し、災害対応に活用できるように取り組むとともに、被害が起きてからの対処のみならず、予防的な施策にも積極的に取り組みます。企業や自治体等の事業継続計画の策定支援、帰宅困難者対策等を進めます。地区防災計画や個別避難計画の策定等を進めます。救援物資の物流を確保する施策や物資管理方法の計画に地方自治体と連携して取り組みます。所有者不明土地の解消へ向けた対応も進めます。

(3)災害時のデマ情報対策

防災アプリ等を活用してできるだけ正しい情報が提示されるようにすることで、災害時においてSNS上で発生するデマ情報への対策に取り組みます。過去の災害でも発生したインプレッション稼ぎのデマ情報に適切に対応できるよう取り組みます。

(4)熱中症対策

公共施設、商業施設等の冷房設備を備えた「クーリングシェルター」の指定促進と周知、熱中症警戒アラートのわかりやすい発信と高齢者等への周知、学校内及び登下校や部活動等での予防対策を徹底します。

(5)都市型災害ケースマネジメントの構築

タワーマンションの集積、大規模な地下鉄網、希薄な地域の繋がり等大都市固有の課題に対しても対策を講じます。

(6)災害対応の強化

災害等への対応力を強化するため、防災拠点となる学校等の公共施設へのエアコン、自家発電機・蓄電池、防災無線等の整備を行います。また、各種情報やデータを自治体と早期に共有し、災害対応に活用できるように取り組むとともに、被害が起きてからの対処のみならず、予防的な施策にも積極的に取り組みます。衛星インターネットの利活用を含め、防災DXを積極的に進めます。避難所における女性、子どもの人権侵害を防止するための施策を講じるとともに啓発活動を支援します。

(7)未整備区間の解消とリダンダントな(冗長性のある)物流網の整備

大規模災害時に物流・人流がスムーズに行われ避難や被災地支援が迅速に行われるよう、高規格道路のミッシングリンク(未整備区間の)解消や高速道路の二車線区間の解消、災害時に高速道路の代替となるリダンダントな(冗長性のある)国道網の高規格化を促進します。災害対応にあたり、物流にとって必要となる地方の鉄道路線については、リダンダンシー及び安全保障上の観点からこれを維持します。

(8)上下水道管の更新・長寿命化・耐震化、無電柱化の促進

老朽化配管が原因とされる道路陥没事故が日本全国で起きているように耐久年数超の配管の点検と更新は喫緊の課題です。南海トラフ地震等の被害も想定される中、耐久年数超の配管や未耐震化配管がある現状を踏まえ、早急に国の予算で上下水道管の点検と更新を含めた耐震化を進めます。漏水による無駄や耐震化設備での利用者負担を軽減することが可能となり、将来的な水道料金値上げも抑制できます。併せて、無電柱化を促進します。

(9)国土柔軟化政策

温暖化による水害多発時代を踏まえ、ダム等の施設だけに頼らない、土地利用配慮や森林保全、避難態勢づくりを含む「流域治水」を国・自治体・企業・住民等が連携して進めると同時に、生物多様性を埋め込んだグリーンインフラを増やす国土柔軟化政策を進めます。

2. 発災時の迅速な対応

(1)「命の口座」の新設とプッシュ型支援

新設する「命の口座」に登録することで、災害や感染症まん延時等の際、必要な手当や給付金が申請不要で迅速かつ自動的に振り込まれる「プッシュ型支援」を実現します。

(2)道路、河川、港湾、鉄道等の復旧

降雨のパターンが変化している中、道路や河川(水門インフラ等)、港湾、鉄道等の復旧については、確実にこれを行い、被災時には単に元に戻す原形復旧を行うだけでなく、事前防災や再度災害防止の観点を入れたものとします。また、道路等について新たなミッシングリンク(寸断)が生じることがないようにします。とりわけ、近年多発する河川の氾濫に対処するため、重点的に河床掘削や河道掘削、しゅんせつを行います。また、鉄道等の復旧についても、公共交通の一翼を担っていることに鑑み、民間任せではなく、国の災害復旧事業としてしっかりと後押しをします。

(3)安全な被災者生活空間の迅速な確保

大震災等発災時には、旅館・ホテル等の民間施設を借り上げた際の避難期間等を弾力的に運用します。インスタントハウスやみなし仮設住宅の充分な確保(広域での空き家住宅・賃貸住宅の借り上げ等による住宅確保)をより迅速に実施します。LPガス等を活用した動力源の分散化も検討しつつ、避難所となる体育館の改善・修繕とエアコン設置を進めます。災害に便乗した犯罪行為に対する治安維持対策を強化します。

(4)地域防災力の強化

地域防災や広報を担う消防団員、自主防災組織の処遇改善、防災資機材の整備を推進します。

(5)災害復旧・復興支援税制の創設

被災地支援のボランティア活動を促進するため、自己負担分について税額控除を可能にします。また、近年、大きな災害が多発していることを踏まえ、生活再建をめざす被災者の税負担をできる限り減免するため、「災害損失控除」を創設します。

(6)被災地の復興

復興の加速のため、「災害弔慰金支給法改正案」、「東日本大震災復興特区法改正案」、「土地等処分円滑化法案」、支援金の要件緩和や増額を行う「被災者生活再建支援法改正案」を成立させます。
東日本大震災、能登半島地震等のこれまでの災害復興支援を継続します。激甚災害の適用地域については自治体による復興費の軽減を行います。被災地のコミュニティ、産業等の復興を支援します。また、被災家屋の公費解体の手続きの簡素化と迅速な対応をめざします。
「科学技術への投資」を行い、東北発・国際的科学研究都市として世界をリードしていきます。次世代の科学技術・産業・雇用・地域振興の土台づくりとするため、国際リニアコライダー(ILC)の早期誘致をめざします。

(7)東日本大震災からの復興・再生

福島の復興・再生は今後とも最重要課題であり、「復興と廃炉の両立」に向け、東京電力福島第一原子力発電所の着実な廃炉、風評被害対策、適切な賠償等を進めるため、あらゆる政策手段を投入します。こうした取り組みを通じ、被災地の復興と産業発展に向けて、東日本大震災によって残された多くの課題に全力で取り組みます。

3.「総合的な経済安全保障」の強化

食料、エネルギー、医薬品、医療機器、人材、文化等を含む「総合的な経済安全保障」政策を推進します。政府一体となった戦略を策定し、日本の課題解決に取り組みます。

(1)国内調達の拡充

食料・エネルギー・医薬品・半導体等の国内調達を拡充します。基本的な生活物資や諸物資のほか、レアメタル等の重要鉱物について海外依存をできる限り低減し、自立したサプライチェーン(供給網)によって富の海外流出を防ぎながら国と地方を守る「給料が上がる経済システム」を構築します。AIや次世代通信規格6G、ドローン、半導体や量子技術等は軍事転用可能な技術であることから、これらの技術の流出や、外国資本による技術保有企業(中小・中堅企業を含む)の買収を的確に把握、規制するため、必要な法整備を進めます。

❶国民の命と生活を守る医薬品や医療機器の安定供給確保

後発医薬品の安定供給を図るとともに、我が国における新薬創出を促進するため、中間年薬価改定を廃止し、経済成長率を踏まえた新たな薬価改定ルールを策定します。そのため、中央社会保険医療協議会の構成を見直し、医薬品関連業種の代表者を加えます。
また、革新的新薬へのアクセス確保とドラッグ(デバイス)ラグ・ドラッグロス改善のため、欧米と比較して相対的に低い新薬収載時の価格算定方式を見直すとともに、特許期間中の価格を維持する制度へと見直します。さらに、市場拡大再算定制度については、新たなエビデンスや使用実態、想定患者数等を踏まえた市販後のイノベーションを再評価できる仕組みへと見直し、とも連れルールは不合理かつ予見性を損なうことから廃止します。
安定供給の観点からは、供給不安に陥っている医薬品等について増産に向けた支援を行います。また、不採算に陥ることのない価格下支え制度、急激な物価高騰に対応できる制度を構築します。終わりの見えない供給不安に終止符を打つために、医療機関と医薬品卸売業の取引における商慣行を変革すべく医薬品流通改善を促進します。医薬品メーカーの生産・在庫・出荷状況等を一元管理するデータベースを構築します。

❷イノベーション創出環境の整備

優れた医薬品や医療機器を世界に先駆けて生み出すために、「社会課題(公的医療介護費、生産性損失)の解決につながるイノベーション」や「世界に先駆けて生み出されたイノベーション」、「医療の質の向上や医療の効率化に資するイノベーション」を積極的に評価します。また、世界をリードするイノベーションの多くがベンチャーやアカデミアから生み出されていることを踏まえ、世界中から投資、技術、人材を呼び込み、かつ多様な人材が力を発揮する雇用の場として機能する創薬エコシステム・イノベーション拠点を構築します。また、研究開発現場は、治療手段(モダリティ)の多様化、AIやIoT技術の進展に伴い複雑化・高度化しており、多様な患者ニーズに応え、世界に先駆けてイノベーションを生み出すために、各種法規制が適正に機能しつつも、ボトルネックとなることのないよう、国際的な制度の調和(ハーモナイゼーション)をさらに推進します。
質の高い効率的な医療の提供・医薬品や医療機器の研究開発の効率化を図るためには、健康医療データの利活用は不可欠であり、「仮名加工医療情報」の二次利用にかかる法整備や、臨床試験等に活用しうるデータの標準化と信頼性確保等を推進します。
フェムテック(女性の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービス)関連医療機器や医薬部外品の届出、認証が円滑に行われるよう改善します。

❸主体的・戦略的な経済外交

日本の「モノ」「サービス」を海外に広める取組を徹底して行います。特に鉄道や発電所、上下水道等、日本が誇るインフラ設備の輸出も官民共同で行い、日本の産業の振興と世界への貢献を両立させる取組を行います。また、対日投資促進やインバウンド需要拡大をめざし、外国法人との対話力強化や多言語での情報発信強化等に取り組みます。自由貿易協定については、TPP等の経済連携協定の効果を検証し、自由貿易の重要性を踏まえつつ、自動車や農業分野等、日本の国益を守ることを最優先に位置付け、主体的・戦略的な経済外交を推進します。

❹セキュリティ・クリアランス

国民民主党がいち早く必要性を訴えていたセキュリティ・クリアランス制度は法改正され前進したが、運用面での課題は残っています。施行後の制度がより実効性のあるものとなるよう対象者の評価基準の見直し等、重要情報の漏えいの防止策をさらに強化します。
※セキュリティ・クリアランス制度…政府が保有する安全保障上重要な情報にアクセスできる者の信頼性を確認し、アクセスを認める制度。

(2)国民全体で農山漁村を支える循環型社会の構築

農林水産業及び農山漁村は、食料や木材の供給のほか、美しい景観の形成、CO2の吸収による温暖化防止への貢献、地域社会の形成等多様な役割を担っており、その恩恵は国民全体が広く享受するものです。
一方で、担い手や農地の減少等の生産基盤の弱体化や、農山漁村人口そのものの減少により、食や地域の安全保障が脅かされているのが現状です。この理由は「手取りが少ない」からであり、真に豊かで持続的な分散型社会を再構築するためには、農林水産業の分野でも手取りを増やす政策が必要です。

❶食料安全保障の確立 ~食料自給率50%を実現~
  • 「食料安全保障基礎支払」の創設

    世界的な食料危機や気候変動への対応を広義の安全保障として位置付けるとともに、国土、水源、自然環境の保全等、農業の公共的・環境的役割を重視した農政を展開します。
    食料安全保障の強化のためには、国内の生産力を高める必要があり、「営農継続可能な農業者の所得向上」が不可欠です。適正な価格形成に向けた環境整備を消費者の理解を得ながら進めるとともに、「食料安全保障基礎支払」(稲作:15,000円/10a、畑作・果樹等:10,000円/10a、含「洪水防止機能加算」)を創設するほか、中山間地域等直接支払制度の拡充や、「多面的機能支払」(農業生産による外部経済効果に対する支払)の導入により、直接支払制度を再構築します。

  • 主食である米と水田を守る

    水田は、洪水や土砂崩れを防止する役割、生物多様性の保全のほか、連作障害が少ないといった特徴があります。日本では、昔から水田を開墾し、水路や農地の整備を進める等、先人の努力で優れた生産基盤を維持し続けてきました。日本の水田と水路は優れた生産装置であり残すべき財産です。加えて、気候変動による異常気象下においては、稲作はほかの作物に比べて減収リスクが小さく、比較的安定生産が可能です。
    この観点から、安易な畑地化を抑制し、水田面積の維持・確保を図り、主食用、加工用、米粉用、飼料用等、稲作を中心とした水田フル活用政策を、新たな水田政策とともに推進します。直接支払制度の再構築と併せて主食用米の増産を図り、需給と米価の安定を実現します。

  • 種子の確保

    種子の確保は安全保障の基本です。種子の保存、新品種の育成について国が責任を持って取り組むための法律を作ります。

  • 農業を選ばれる職業へ

    農業の担い手不足と高齢化の進展に歯止めをかけるには、農外(世代や経験を問わず、Uターン、Iターン、Jターン等多様な形態)からの新規参入を後押しするとともに兼業農家への支援を拡充する必要があります。
    現行の新規就農者支援対策を更に拡充し、直接支払制度に「青年農業者加算」を創設するほか、就農時の農地の利用や取得に対して、農地中間管理機構(農地バンク)における研修制度や相談体制を拡充します。
    また、移住者や二拠点居住を対象に、譲渡所得の税制優遇や住宅ローン減税の拡充を行います。
    これまで国の支援対象から外されてきた兼業農家や「半農半X」※を多様な農業人材として位置付け、地域の実態を踏まえて国による支援の対象とします。
    ※半農半X…都市から農村に移住し、別の仕事をしながら農業を営む取組

  • 学校給食の無償化、国産化・食育活動の推進

    小中学校の学校給食を早期に無償化します。
    食材は農産物、水産物ともにできるだけ地産地消のものとし、併せて有機農産物の利用を推進、国産化・食育活動の推進を進めます。遺伝子組み換え食品も学校給食では使いません。栄養教諭の配置等食育活動の推進を図ります。

  • 畜産・酪農業の振興

    畜産は、人がそのままでは食料として利用できない牧草等が利用できること、飼料の生産、家畜への給与、堆肥の農地への還元という資源循環型産業であり、山間地や離島での草地利用や林間放牧による土地利用等、農村地域の維持・活性化に大きく貢献しています。
    一方で、国の規模拡大路線により増頭・増産は進んだものの、大規模畜産農家ほど輸入配合飼料の依存度が高く、飼料価格高騰が経営を圧迫しています。
    経営規模と生産コストの関係をみても、必ずしも大規模化にメリットがあるわけではなく、むしろ国産飼料の利用割合が高いほど経営が安定する傾向にあることから、過度な増頭・増産路線に歯止めをかけ、地域の特性や気候を生かした適正規模での飼養を推進します。放牧は、飼養管理の省力化、離島や山間地での土地利用、動物福祉(アニマルウェルフェア)の観点、それぞれの面からメリットがあることから、需給バランスに留意をしつつ、推進を図ります。
    さらに、動物福祉を考慮した長命性を重視した品種の導入を行うとともに健康管理体制の強化を行います。
    飼料自給率向上は、畜産経営の安定に必要不可欠であり、耕畜連携の推進にもつながることから、更なる向上をめざします。とりわけ、濃厚飼料の自給率向上は喫緊の課題であり、政府が縮小しようとしている飼料用米について、支援の継続と更なる生産振興を図ります。

  • 家畜伝染病の阻止

    アフリカ豚熱(豚コレラ)等家畜伝染病の海外からの流入を水際で徹底阻止するため、検疫探知犬の配置の充実、許可のない肉製品等の持ち込み者に対する上陸拒否等、検疫体制を強化します。
    また、薬剤耐性菌予防の観点から動物用ワクチンの開発を推進し、まん延防止対策のガイドライン整備に取り組みます。

  • 野菜、果樹、お茶、花き等の生産振興

    野菜、果樹、お茶、花き等の生産基盤の強化を支援します。我が国における果樹やお茶、米は世界的にも優位性を発揮できる貴重な品目であり、その強みを活かした更なる輸出拡大が期待されます。一方で、高温障害等の気候変動の影響や生産者の高齢化等の様々な課題に直面しています。そこで、国内における消費喚起対策、担い手及び雇用労働力の確保、高度な技術や園地継承、食文化の振興を国として積極的に支援します。
    花きにおいても同様に、コロナ禍以降減退する国内消費を喚起するとともに、国外における更なる国産花きのブランド戦略を図り、国内外における生産・加工・流通段階における支援を一層推進します。

❷宝の山を未来につなぐ
  • 国産材でつくる持続可能な社会

    戦後に造林した木材の多くが伐採期を迎えており、国産材の供給余力は増加している一方、未だ国産材利用率が低いのが現状です。
    農業用ハウスや畜舎、木質サッシの推進を含め住宅、公共建築物等への木材利用を加速させ、森林資源の有効活用により持続可能で地球温暖化防止に寄与する林業に転換し、国内林業を活性化させます。

  • 山を守る、育む

    「伐って、使って、植える」ルールを徹底(間伐と主伐後の再造林の義務化と、伐採届け出の厳格化)します。
    適切な森林管理に対する直接支払の充実を図り、防災や水資源の確保の観点から森の保全に努めるとともに、林業従事者の安全を確保した労働安全環境を構築する施策を行います。

  • 花粉症対策

    国民の約3割以上が罹患しているスギ花粉症の対策強化を図るため、スギ人工林の伐採・利用・植え替えの促進、花粉の少ない苗木の生産拡大、花粉飛散抑制技術の開発をさらに進めます。

❸豊かな海をともに守る

水産業を取り巻く環境は依然として厳しく、漁獲量の減少・海洋環境の変化・就業者の高齢化・担い手不足等が深刻です。一方で水産業の持続的な発展は、海洋国日本の安全保障上も、貴重なタンパク源としても、極めて重要です。再生のためには、漁業者の収益性の向上が不可欠であり、漁業経営の安定化、漁村の維持、競争力強化、養殖業の支援強化、漁業施設の整備・漁港機能増進等に取り組みます。また、水産業に携わる労働環境改善のため、必要な法改正を行います。

  • 漁業収入安定対策(共済と積み立てプラス)の法制化

    資源管理を条件とした「漁業収入安定対策」の法制化により、漁業経営の安定化を図るとともに、資源管理の実効性を上げます。資源管理の手法の1つであるTAC(漁獲可能量の設定)の対象魚種については、近年の海洋環境の変化を踏まえた資源評価をもとに、漁業者の実情に配慮します。

  • 持続可能な漁業へ

    国際的な資源管理体制の構築に向け、公海上の水産資源管理も含め、日本がリーダーシップを発揮します。
    また、魚の消費拡大に向けた消費者の嗜好にあった(食べやすい)良質な水産加工品の開発・普及、流通構造の見直し、内水面漁業への支援強化等により、多様な魚種を持つ日本の魚食文化の振興を図ります。加えて、MSC漁業認証(海のエコラベル)やASC養殖場認証等の認証制度の活用と認知度向上を図ります。
    加えて、日本海近海で度々発生する赤潮被害等に対する救済制度の拡充、その発生メカニズムの解明と被害防止に資する技術開発に取り組みます。

❹消費者との信頼関係の構築

「食料安全保障基礎支払」をはじめとする直接支払制度の拡充等の施策は、消費者(納税者)の理解が不可欠です。理解促進に向け信頼関係の構築を図ります。

  • 表示制度の充実による生産過程の見える化

    安全・安心な農産物・食品の提供体制を確立するため、原料原産地表示の対象を、原則として全ての加工食品に拡大するとともに、食品トレーサビリティの促進、食品添加物、遺伝子組み換え食品表示やアレルギー表示、ゲノム編集応用食品表示等、販売の多様化にあわせた表示内容、消費者目線の食品表示制度の実現を進めます。認可・認証基準について消費者サイドに立ち、厳格化します。

  • 機能性表示食品の安全性確保

    機能性表示食品による健康被害について迅速な原因究明を行います。機能性表示食品における審査制度を見直し、安全性の確保を進めます。

  • 食品ロス削減への取組強化

    商慣行(1/3ルール等)や、農産物規格の見直しにより、食品ロスの削減に取り組みます。

4. カーボン・ニュートラルおよびエネルギー政策の推進

(1)地球温暖化対策

2050年カーボン・ニュートラル社会の実現や「パリ協定」の推進に向け、徹底した省エネルギーと、電源の低・脱炭素化や電化の推進、運輸部門における電動車の普及促進(インフラ整備を含む)、蓄電池やCO2フリーの水素・合成燃料(バイオジェット・e-fuel等)の開発・生産支援を行う等、革新的なイノベーションとその社会実装を通じた大幅なCO2削減をめざします。

(2)エネルギー安全保障

ロシアのウクライナ侵略や中東における紛争等により、我が国のエネルギー安全保障の確保が危惧される中、資源の少ない日本にとって、エネルギー自給率の向上等エネルギーを安全・安定・安価に確保することは極めて重要な課題です。現在、最終エネルギー消費の約5割を占める石油や天然ガスは国民生活・経済活動に不可欠なエネルギー源であり、安定供給の確保、価格変動への耐性強化、外交・戦略的価値等の観点から、燃料資源の探鉱、開発、生産といった上流権益を確保していきます。そのうえで、安定供給の要である火力発電の高効率化、低炭素化、炭素回収・貯留(CCS)を促進するとともに、原子力や再生可能エネルギー等他国依存度の低い電源を積極的に活用することで、電源のベストミックスを実現するとともに、水素・アンモニア・合成燃料の国内製造基盤と利用環境の戦略的整備を進め、将来的なエネルギー自給率50%を念頭にエネルギー安全保障の確保を図ります。また、電力システム改革は、①安定供給の確保、②電気料金の最大限の抑制、③需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大を目的に開始されましたが、電力需給ひっ迫や新電力の撤退・倒産が相次ぐ等課題が顕在化しています。2016年4月に開始した電力小売り自由化は、いまだ規制料金が残されていることからも、全面自由化が国民や経済・社会にとって真に有益な施策となっているか不断に検証し、安定供給や災害等への迅速な対応を念頭に置きつつ電力システム改革の必要な見直しを行います。

(3)分散型エネルギー社会

S+3Eを大前提に、共生・自立・分散型のエネルギーネットワークを構築し、他国依存度の低い電源(再生可能エネルギーや小型モジュール炉(SMR)等)を中心としたマイクログリッドを含む自立・分散型エネルギー社会の構築をめざします。特に洋上風力、地熱の活用に注力するとともに、ジオエンジニアリングに取り組みます。地熱・中小水力・バイオマス・太陽光・風力等の各地域資源の有効活用や電源立地地域への産業集積等を通じて地方の可能性を引き出します。再エネ賦課金が増大し国民に大きな負担となっていることから、再エネ賦課金制度のあり方を検証し必要な見直しを行います。2030年代には電源構成比で再エネ比率が40%以上となるよう自治体等の関係者の合意を得つつ着実な取り組みを進めます。蓄電技術の開発向上や資源の安定確保に取り組み、将来的には蓄電システムを併設した太陽光発電システムによる電力コストを大幅に低減しうる自家消費型電源システムの普及促進を図ります。

(4)原子力政策

脱炭素化を求める世界的な流れが加速する中、原子力は発電時にCO2を排出しないという観点から、カーボン・ニュートラルに大きく寄与します。加えて、エネルギー価格高騰が叫ばれる昨今において、原子力は資源価格の影響を受けにくく、出力が安定的であるという観点から、エネルギー安全保障にも大きく寄与します。以上のことから、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、安全確保を最優先としつつ、原子力を我が国の電力供給基盤における重要な選択肢と位置付け、次の考え方に基づき原子力発電を最大限活用します。①運転期間は運転開始から原則40年としつつ、科学的・技術的根拠に基づく厳格な運転期間を適用する。②法令に基づく安全基準を満たしたうえで避難計画を作成し、地元同意を得た原子力発電所は早期に稼働させる。③エネルギー安定供給確保とカーボン・ニュートラル社会の実現に向けてあらゆる手段を確保・活用する。
安全基準を満たした原子力発電所の早期再稼働に向けて、原子力に関する規制機関の審査体制の充実・強化や審査プロセスの合理化・効率化等を図り、適合性審査の長期化を解消します。また、データセンターや半導体工場の新規建設による電力需要の大幅増加も見据え、将来にわたる電力の安定供給を実現する必要があることから、次世代軽水炉や小型モジュール炉(SMR)、高速炉、高温ガス炉、核融合炉、浮体式原子力発電等次世代革新炉の開発・建設(リプレース・新増設を含む)の推進、使用済燃料の処理・処分に関する革新的技術の研究開発、新たな発電・送電・蓄電技術や核融合技術の研究開発等をファイナンス面での支援も含めて進めていきます。加えて、国際競争力の強化、国内サプライチェーンの確保、技術を支える人材の維持・向上を図ります。
また、放射性廃棄物の処理や使用済燃料の再処理、原子力施設の廃止措置等のバックエンド対策については、国の責任において着実な前進を図るとともに、使用済燃料の処理・処分に関する革新的技術の研究開発を進めます。
また、原子力発電所等原子力施設への武力攻撃を想定し、自衛隊による原子力施設の迅速な保護を可能とする法整備を行います。

5. 危機から国民と国土を守る

ロシアによるウクライナ侵略により国際秩序が根底から覆される危機にさらされる中、中国の急速な軍備拡大、頻繁な領海侵犯、北朝鮮による我が国周辺への度重なるミサイル発射やロシアによる北方領土への新型ミサイル配備等、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しています。このような厳しい安全保障環境を踏まえつつ、「戦争を始めさせない抑止力」の強化と、「自衛のための打撃力(反撃力)」を保持します。激変する安全保障環境に対応するため、日米安保体制をさらに安定的に強固なものにしていくことは、日本の安全のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠です。
日本の外交・安全保障の基軸である日米同盟を堅持・強化しつつも、米国に過度に依存し過ぎている日本の防衛体制を見直し、「自分の国は自分で守る」ことを安全保障政策の基本に据え、必要な取り組みを行います。

(1)日米同盟

周辺諸国が核兵器を保有し、その投射手段であるミサイル開発を継続している状況を踏まえると、拡大抑止の実効性確保について具体的に議論していく必要があります。このため、現在行われている「日米拡大抑止協議(EDD;Extended Deterrence Dialogue)」を局長級以上に格上げするとともに、成果について国民に説明するよう求めます。
日米両国の信頼関係に基づき、平和安全法制の見直しや地位協定の見直しに加えて、非対称的な双務性を定めた日米安全保障条約の将来像についても日米間で議論を行います。米軍、軍人、軍属、その家族に対する国内法の原則順守、日本側の米軍基地の管理権等について米国と協議します。利便性向上にもつながる横田、岩国空域及び管制権の返還を求めます。
辺野古の埋め立てについては、軟弱地盤の存在が明らかになったこともあり、期間や費用が当初より大きく膨らむことが懸念されています。普天間基地の代替機能を計画通り果たすことができるのか等日米間で十分に協議します。

(2)国内の防衛生産・技術基盤の強化

主要な防衛装備を自国生産できる製造基盤の強化や新規参入の促進、研究開発体制の強化や防衛産業の育成・強化を目的とした一定の利益率の確保等防衛産業の活性化に取り組むとともに、防衛産業が抱える様々なリスクを軽減・排除し、装備移転の促進等販路の拡大に取り組みます。

(3) 日本の海を守る

日本の海を守る政策を推進します。尖閣諸島等国境離島とその周辺海域の警備・防衛体制を強化し、海洋国家日本の安全と資源確保のため、政府主導で海洋調査やインフラ整備を進め、実効性ある法整備と予算確保で海洋政策の停滞を打破します。中国の海洋進出に対応し、米国・インド・アジア太平洋諸国と連携強化、共同監視体制を構築します。海上保安庁の装備・体制を強化するとともに、海上保安庁法に領海警備任務を明記し、自衛隊法の改正も進めグレーゾーン事態対応を強化します。海上保安庁と自衛隊の連携を密にし、領海侵入には毅然と対応し、国際的な海洋秩序の維持に注力します。加えて、海洋環境の保全や持続可能な漁業を推進し、海洋人材の育成、造船業及び海運の振興を国策に取り込み、国民の生活と次世代のため豊かな海を引き継ぐべく、国益確保の柱として日本の海洋戦略を再構築します。

(4)能動的サイバー防御

従来領域(陸、海、空)において不十分であった継戦能力の確保や抗堪性の強化を抜本的に見直して整備するほか、防衛技術の進歩、宇宙・サイバー・電磁波等の新たな領域に対処できるよう専守防衛に徹しつつ防衛力を強化するため、必要な防衛費を増額します。
サイバー安全保障を確保するために、我が国においても平時の段階からサイバー攻撃者の動向を探り、対処を行う能動的サイバー防御(アクティブ・サイバー・ディフェンス)について、能力整備と実施体制の整備を行うとともに、「サイバー安全保障基本法(仮称)」を制定します。
情報収集衛星を質・量ともにレベルアップを図るとともに、イギリスのJIC※等を参考にしつつ、日本のインテリジェンス能力を高めます。
安全保障上の観点から、公共インフラやカーナビ情報等の実情について調査し、所要の対策を講じます。
※Joint Intelligence Committee…合同情報委員会

(5)「スパイ防止法」の制定

G7諸国と同等レベルの「スパイ防止法」を制定します。今の日本には、スパイ行為を包括的に処罰できる法律が整っていません。また、近年ではサイバー空間を含む新たな諜報活動が国際的に活発化しており、従来の法制度では対応困難な状況です。こうした現状を踏まえ、国家機密保護や安全保障体制の強化という観点から、サイバー空間を含めたスパイ行為全般を処罰対象とする、実効性の高い包括的な法整備を進めます。

(6)固有の領土

尖閣諸島をはじめ、我が国の領土・領海・領空を守り抜きます。我が国の固有の領土でありながら外国に不法占拠されている北方四島と竹島については、返還実現に向けて粘り強く交渉を続けるとともに国際社会における世論形成に努め、解決をめざします。
関係各国と緊密に連携し、北朝鮮の完全な非核化、ミサイル放棄を実現するとともに、拉致問題の解決を図ります。

(7)ミサイル防衛の強化

ミサイル防衛体制を抜本的に見直し、あらゆる経空脅威に統合的に対応する統合防空ミサイル防衛(IAMD;Integrated Air and Missile Defense)能力を強化してまいります。この際、現在進めている「イージスシステム搭載艦」の有効性を検証・評価するとともに、地上配備システムを含む包括的かつ最適なミサイル防衛体制の整備を地域住民の声を尊重したうえで、行います。それに加えて、多数の弾道ミサイル攻撃に対処するための弾薬の整備を進めるとともに、極超音速滑空兵器(HGV:Hypersonic Glide Vehicle)等の高度化・多様化する経空脅威への対処能力の向上を図り、レーダーや国産の中距離地対空誘導弾(中SAM:Surface-to-Air Missile)の能力向上、滑空段階迎撃用誘導弾(GPI:Glide Phase Interceptor)の日米共同開発等を促進します。

(8)自衛官(予備自衛官を含む)が任務に専念できる環境の整備

自衛官(予備自衛官を含む)の処遇改善、勤務環境の改善に引き続き取り組みます。留守家族支援策の強化、退職自衛官の再就職支援の強化や若年定年退職者給付金の拡充を行います。女性自衛官が更に活躍することができるよう、勤務環境の改善や子育て支援、育児後の職場復帰が円滑にできるような施策を講じます。また、知的基盤の強化を推進します。

(9)シェルターの整備

北朝鮮の弾道ミサイル発射や台湾有事に備え、自衛隊施設はもとより避難施設等についてもシェルター確保を進めます。また、想定される有事に対して効果的、効率的な避難訓練を実施します。

(10)外国人土地取得規制・社会保障の運用適正化

我が国における土地の取得・利用・管理をめぐる最近の状況に鑑み、総合的な安全保障の確保を図るため、防衛施設周辺に限らない、全国的かつ網羅的な土地取得の調査と把握を行います。それを踏まえて、大正14年制定の外国人土地法の改正も選択肢に入れ、実効的な「外国人土地取得規制法案」の成立をめざし、不動産投資規制などにより我が国の国土を守ります。外国人の社会保険の加入実態等を調査し、運用の適正化等必要な対策を講じます。

(11)人権外交の推進

「対話と協力と行動」という基本的な考え方に基づき、普遍的価値を共有している諸外国と連携した人権外交に取り組みます。人権侵害行為を理由に、加害者たる個人や団体に対し、資産凍結やビザ規制等の制裁を行う「人権侵害制裁法(日本版マグニツキー法)」と、サプライチェーンの透明化等により、日本企業をレピュテーションリスク(評判の毀損による企業価値の低下)から守るための「人権デューデリジェンス法」を制定します。
ロシアへの制裁措置への導入・拡充に関しては、G7を中心とする各国と連携し、IMF等多国間金融機関からの融資防止やロシアへの新規投資禁止等の措置を講じるほか、必要な外交努力を行います。
また、ODAのインフラ偏重を是正し、医療、教育、貧困対策等の民生部門を重視します。

(12)グローバルサウスとの連携強化

「自由で公正な貿易秩序」と経済安全保障の両立に向け、ルールベースの国際貿易秩序の再構築、有志国との信頼できるサプライチェーンの構築、グローバルサウスとの連携を強化します。多くが自国優先主義に傾きがちな今だからこそ、日本が新たな国際秩序構築に顕著なる貢献をしていきます。

(13)感染症対策強化

感染症法に基づき、感染力と罹患した場合の重篤性等の観点から危険性が高い感染症については医療機関の受け皿を拡大し、症状等に応じた役割分担と連携を強化して、医療崩壊の閾値そのものを上げます。次なるパンデミック等、有事を見据えた治療薬やワクチンの開発・生産体制を強化するとともに、パンデミック時の役割分担と連携等に係る医療体制のあり方を整理したうえで、必要な法整備を含め、感染症に強い国づくりを推進します。平時の病床数に加え、感染症緊急時に対応できる病床にゆとりが持てるように診療報酬、介護報酬を改めます。医師・薬剤師・獣医師・保健師等の人材確保等保健所の機能強化に努めます。

6. 地域活性化

(1)新しい地方分権

地方自治体への権限・財源移譲を推進し、地方間の財政調整機能を強化し地域が自主性・独自性を発揮して切磋琢磨できる環境を整え、日本全体の底上げを図ります。地方創生臨時交付金を増額し、一括交付金を復活させます。国と自治体の「歳入比率5:5」を実現します。歳入比率「6:4」歳出比率「4:6」の矛盾を改善します。
住民自治を基礎とした「持続可能で活力ある地域社会の実現」のために、労働者協同組合法が円滑に施行され、広範に活用されるべく、全ての地方自治体における「協同労働」推進のためのプラットフォームづくり等に取り組みます。
DX格差の是正と持続可能な地域・産業社会の実現をめざします。

❶ふるさと納税の見直し

企業版ふるさと納税による地方創生事業について、企業による寄付によって公平性に疑義が抱かれないように透明性を確保します。また、ふるさと納税全体が本来の制度趣旨に沿った運用となるように取り組みます。

❷大都市圏への人口集中の是正
  • 「移住促進・UIJターン促進税制」の創設 「移住促進・UIJターン促進税制」を創設します。特に、持続可能で活力ある地域社会の実現のため、「里帰り減税(控除)」を実施し、東京圏からの転出により出身の市町村等に定住する場合、繰越控除を含む所得税・住民税の大幅な減免を行います。これにより、防災・減災の観点も踏まえ、都市の機能分散を推進します。
  • 地方中小企業と就職希望者をつなぐマッチングシステムの創設

    UIJターン希望者や女性・高齢者等を地方中小企業等につなぐマッチングシステムを創設します。また、滞在型施設のある市民農園(クラインガルテン)や他地域就学の促進による関係人口の創出に取り組みます。

  • 地方都市シャッター街の利活用

    地方都市シャッター街の利活用を進めます。地方都市シャッター街物件をスタートアップやリモートワークで利活用できる税制・マッチングシステム等を創設します。

  • 歴史的景観の保全

    街づくりについては、歴史的建造物や景観の保持と調和する街づくりを行います。

  • リモート勤務者支援

    リモート勤務者の地方在住に前向きな企業と、当該勤務者が在住する自治体を支援します。社員に占める遠隔地方勤務者の人数によって法人事業税等を減免するとともに、在住自治体には地方交付税算定上配慮します。

  • 人口密度に応じた法人事業税・法人住民税減免制度の創設

    人口密度に応じた法人事業税・法人住民税減免制度を創設し、企業や事業所の地方移転を推進します。当該減免措置による減収分は地方交付税算定時に考慮し、地方財源を補償します。

  • スタートアップ支援

    スタートアップ支援のため、起業支援税制・融資制度の整備、起業家教育の推進に取り組みます。ひとり親が起業する際には子どもの預かり体制等迅速に働ける環境を確保できるような必要な支援を行います。

❸暗号資産を活用したトークン・エコノミーの支援

Web3.0等非代替性トークン(NFT)を生かした経済を推進するため、法定通貨である円を電子通貨化するとともに、地方自治体による、地域経済活性化に資する暗号資産「デジタル地域通貨(仮称)」の発行を推進します。

❹公共交通政策

公共交通は、地域住民の自立した日常生活の確保、地域間の交流の促進、環境負荷低減等、社会政策・環境政策等の側面も持ち合わせていることから、採算重視や民間任せではなく、国が責任を持って「公共交通ネットワーク計画」を策定し、国土の健全な発展をめざします。
「公共交通確保法」を制定し、地方では「公共交通確保条例」を制定します。地域ごとに、鉄道等どのような公共交通手段が確保されているかを悉皆調査し、公共交通弱者をなくします。

❺日本版ライドシェアの検討・乗合タクシーの普及支援

タクシーの台数が少なく、移動の自由が十分に確保できない地域においては、日本版ライドシェアは、国民生活には必要な取り組みです。ただし、①お客様の安全確保 ②車両の安全確保③事故時の適切な対応の3条件が担保されることが前提であり、あわせて、タクシー運転手の雇用、賃金、労働時間等にマイナス影響のないよう、十分な対応、支援措置を行うことが必要です。
また、低料金でドアツードアの乗合タクシー(デマンドタクシー)、コミュニティバス等を、国の基準の見直しや予算措置で、強力に支援します。さらに、免許を返納した高齢者も活用できるように地域タクシーの補助や、介護福祉タクシーの負担軽減を進めます。

❻eスポーツ振興による地域活性化

関連市場も含めて大きな経済波及効果があるeスポーツの振興や世界大会誘致等による地域活性化を推進します。

❼地域文化の保護

地域の伝統文化である民俗芸能を保護するため、人材育成や用具の維持に対して支援を拡充し、地域の誇る文化を維持します。また地域文化の奉納場所(寺社等)の環境を整備します。

❽地域における文化・歴史の継承、振興

地域における交響楽団、合唱団等の音楽や演劇鑑賞、美術や博物、歴史的遺物等の保護、展示等を通じて地域の歴史・文化の継承・発展を図るとともに、子どもたちのまっすぐな成育に資する事業への支援を行います。歴史遺産の耐震化等防災対策を進めます。

❾地方大学の連携

地域の指導者層を育成する地方国立大学と連携して、地域に潜在する資源を活用して外貨を獲得する産業・製品の創出を支援します。

❿地方観光資源の活用

隠れた観光資源が地方の活性化につながるよう、広域でつなぐような観光商品の開発事業やそこに至る安全な交通路、観光施設等の整備を促進します。

⓫地方の総合経済対策

地方に対する交付金について、地域の事情に即し、適切な事業期間で効果的な施策を講じることができるように、繰越要件の緩和、基金積立要件の弾力化、対象事業の拡大等機動的な運用を図り、地方経済を後押しします。

⓬地方の産業育成

地方の産業を支える農林水産業、中小企業に対する支援を抜本的に改革強化します。また、地域特性の強みを活かした地域産業の更なる強化へ向け、人材育成や研究開発の支援を強化します。

⓭地方の事務手続きの負担軽減

薬剤師や管理栄養士等の資格申請に係る審査について都道府県経由事務を廃止する等、地方の事務手続きの負担を軽減するために、経由事務の見直しを行います。

(2)NPO等に対する支援拡充

「新しい公共」の理念のもと、就労・起業、空き家等の遊休資産活用等を支援し、地域社会の課題解決と雇用創出を担うNPO等の活動を支援します。また、「難病の子どもの資金支援法(仮称)」を制定し、特定の子どもへの寄付に対して認定NPO法人並みの税優遇措置を検討します。これらを通じて、発達障がい児・医療ケア児・身体障がい児の当事者やその家族を包括的に支援します。

(3)郵政政策

2012年に成立した改正郵政民営化法に基づき、利用者の利便性を高めるとともに、郵政事業のユニバーサルサービスとしての役割を勘案し、郵便事業を確実に支える仕組みを検討します。特に、郵政事業に係る税制上の措置については、ほかの事業形態とのバランスも勘案しつつ、ユニバーサルサービス確保の観点から、更なる検討を進めます。

7.消費者を守る

(1)万引き犯罪防止対策の強化

万引きの抑止に向けて、実態の把握と対策の周知を行うとともに、被害届手続きの簡素化、罰金刑の厳格な運用や、監視装置(防犯カメラ)の設置支援等の必要な対策を講じます。

(2)循環型経済の確立

大量生産・大量消費・大量廃棄から脱し、循環型経済(サーキュラーエコノミー)へ対応した製品の製造や流通を促します。

(3)SDGsの推進

持続可能な世界を残すために、国際社会が2030年を目標として取り組む国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を推進します。「人間の安全保障」の理念に基づき、気候変動対策、クリーンエネルギーの推進、人権の保護、ジェンダー平等と女性・女児のエンパワーメント、包摂的で公正な社会の構築等に取り組みます。

(4)動物愛護

人と動物が幸せに暮らす社会を実現するため、地域猫活動の認知と促進、犬猫の殺処分ゼロをめざします。アニマルウェルフェアの理念(5つの自由)に基づいた飼養管理の推進に取り組みます。動物福祉後進国の日本において、動物を飼養・管理する者の責務の強化、動物取扱業者の責任の強化、動物愛護管理法に基づく規制の厳守、自治体による監督・指導の実行力強化等に取り組みます。

(5)マイクロプラスチック対策

マイクロプラスチック問題の深刻化を踏まえ、国際的な取り組みを強化するとともに、生態系への影響を防止するための規制を導入します。ペットボトルやプラスチック等のリサイクル・回収制度普及を進めマイクロプラスチック対策を加速化させます。

(6)悪質寄付の規制

カルト宗教等への悪質な寄付勧誘を規制するため、「心理的支配利用罪新設法案」の成立をめざします。

(7)空き家対策を含む住宅政策・高齢者や子育て世帯の住まい確保

所有者不明土地の利活用制度を拡充します。スタートアップ企業や地域貢献が期待できる事業用に利活用できるように国の法制を整備します。所有者不明土地問題、犯罪利用の防止を含め、空き家対策を強化します。空き家の有効利活用を図るとともに、空き家取り壊し等地域の住環境整備事業のための財源確保特別地方債を創設します。土地家屋調査士・行政書士・司法書士等の関連士業と行政による対策プラットフォームを法制化します。空き家解体への減免を図ります。
「中古住宅高付加価値化法(仮称)」を制定します。建物状況調査(インスペクション)の普及支援等既存住宅の資産価値が適切に評価される体制をつくる等不動産流通システムの透明化を進めることで、中古住宅の流通合理化・市場活性化を図ります。団地の世代循環、高齢者向け住宅の供給拡大を進めます。既存住宅の断熱改修の促進を含む省エネ化、住宅バリアフリー化、耐震化を進めます。
また、居住支援制度の充実や公営住宅の活用等により、高齢者や子育て世帯が安心安全な住まいを確保できるよう、住宅政策と福祉政策の連携強化を図ります。

(8)相続登記の申請義務化

相続手続きの申請義務の周知・相談体制の対応強化を図ります。